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種穂神社
山川町の西方は,高越山の梶野が長くのびて,吉野川に迫っている。徳島本線唯一のトンネルの上が町民から親しまれている種穂山で,山頂には,天日驚命・天太玉命・拷機?千々姫命・長白羽命・昨喰見命を祭る種穂神社がある。
貞田引地の登り口から種穂神社までは,約1時間かかる。草を刈り分けないと登れない程の山道である。中腹にオンマツとメンマツが1本になっためずらしいマツの木があった。寛保3年(1743)の「神社帳」に,種穂神社はもと多那穂大権現と称したが,多那穂忌部神社,さらに種穂忌部神社と改められたと記されている。これは,この神社が忌部神社と関係があったからで,寛保元年(1741)には,種穂忌部神社と改称され,忌部本宮ときめられた。
「川田邑名跡志」にも,ここを本来の忌部神社としている。
昔は川田、 川田山,拝村等が氏子区域で崇敬者も多く,宝暦年間(1751〜1763)には旧9月29日の例祭日に,大祓神事や神楽の外に相撲も始められて長い間続いたが,現在では10月23日の例祭日にさえ,参拝者が少ない。
社殿は見晴らしのよい場所に東面して建てられ,眼下に山川町の全景が見える。遠く阿波,麻植両郡を始め,岩津の渕から海に入るまでの吉野川の流れがパノラマのように見える。
山川町教育委員会