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七十五膳の神事
川島神社において秋の例大祭の儀式の後におこなわれる神事である。川島神社は、1916(大正5)年10月20日に吉野川改修工事により社地移転を余儀なくされた浮島八幡宮を中心として旧川島町内の多くの神社を合祀(  ごうし)して     
できた神社である。神事は、1修祓(しゅばつ)、2宮司(ぐうじ)一拝、3献饌(けんせん)(供物を宮司他神職、総代が供える)、4大祓(おおはらえ)、5祝詞(のりと)奉上、6豊栄(とよさか)の舞奉納、7玉串奉奠、8撒饌(てっせん)(宮司他神職、総代が供物を下げる)、9宮司一拝の順でおこなわれる。   
七十五膳という名称は、神饌をたくさん用意して75台の三方にお供えすることによる。神饌は清浄なものでなければならず、品数も非常に多いので、早くから宮司や総代らが農家に依頼しておく。主なものを挙げると、  まずお御供(ごく)がある。これは新米一升を炊いて3等分し、直径14cmほどの  円錐状に盛り、それに稲穂を数本巻き付けて稲穂が上に向くように作るもので、供え物の中心となる。その他、海の幸は鰺(あじ)  に限り、2尾ずつ腹を内側に向けて榊(さかき)の葉の上に並べたものである。川の幸は鮎(あゆ)に限り、海の幸と  同様に笹の葉の上に並べる。用意した供物は三方にのせ、神事が始まるまでの間は本殿東隣の神饌所の奥壁の棚に安置される。神饌所と本殿間の通路沿いには不浄が入るのを防ぐためとして、忌竹(いみだけ)を立て、注連(しめ)縄を張る。
神事参加者のうち裃(かみしも  )を着た総代長は本殿階下、同じく裃を着た当番総代は神饌所で奉仕する。千早(ちはや)を着た氏子総代は奉仕者となる。献饌、撒饌では神職と総代は一同榊の葉を口にくわえ、神饌に一礼して目の高さまで掲げ  て奉仕する。榊の葉を口にくわえるのは、神饌に息がかからないようにするためである。献饌は手送りで順次本殿に供される。撒饌では逆の順路で  神饌所に下げ、再び棚に並べる。昔は小さなお御供を氏子に配ったという
が、現在は紋菓を配る。また、神事で備えた箸は、中風を防ぎ、左利きの矯正(きょうせい)に役立つといってもらう人が多いという。祭事は10月の第4日曜日に
おこなわれている。
吉野川市教育委員会