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阿波手漉き和紙製造の技法
藤森洋一氏の父である藤森実氏は1970(昭和45)年6月2日に徳島県教育委 員会から徳島県指定無形文化財の技術保持者として認定を受けていた。実氏は2015(平成27)年5月4日に死去し、その際に同技術を継承していた子の洋一氏が技術保持者として新たに認定された。旧麻植(おえ)郡川田村(現吉野川市山川町)では古くから和紙が製造されており、徳島県における手漉き和紙 発祥の地との伝承もある。このことは、材料として使うコウゾやノリウツ ギが近くの山野に自生し、収穫が容易であったことや、川田川の豊かな清流といったこの地域の自然環境も大きな要因といえる。江戸時代には、藩が紙の専売制を敷き、この地区でも藩の保護のもとに良質の紙が製造され た。明治時代になると紙の需要が急増し、大正時代中期にかけて最盛期と なった。その後第一次世界大戦直後の経済恐慌の影響を受け、大正時代後 期にはこの地区の製紙業も衰退していくこととなった。
洋一氏は先代の実氏同様に伝統の和紙製造はもとより、藍および植物染料の研究に取り組み、和紙工芸の裾野( すその)を広げることに尽力している。また 阿波和紙伝統産業会館においては技術の保存、継承、後継者育成に取り組 み、海外研修生を積極的に受け入れて、この伝統技術を国内外へ発 信し続けている。
吉野川市教育委員会